『カンガルー日和』のあらすじとまとめ
短編集『カンガルー日和』の最初を飾る作品『カンガルー日和』のあらすじとまとめ。
『カンガルー日和』のあらすじ
新聞の地方版で知ったカンガルーの赤ん坊の誕生。そして「僕」と彼女のもとにようやく訪れたカンガルーを見物するに相応しい日、カンガルー日和。
カンガルーの家族を見ながら過ごす「僕」と彼女のとある一日のエピソード。
小説の冒頭部分
柵の中には四匹のカンガルーがいた。一匹が雄で二匹が雌、あとの一匹が生まれたばかりの子供である。
カンガルーの柵の前には、僕と彼女しかいない。もともとたいして人気のある動物園でもないし、おまけに月曜の朝だ。入場客の数よりは動物の数の方がずっと多い。
我々の目あてはもちろんカンガルーの赤ん坊である。それ以外に見るべきものなんて何も思いつかない。
我々は一月前の新聞の地方版でカンガルーの赤ん坊の誕生を知った。そして・・・・
登場人物
- 僕
カンガルーの赤ちゃんを見たことがない。
キリンのお産を見たことがない。
鯨が泳いでいるところを見たことがない。
女の子と議論して勝ったことが一度もない。 - 彼女
いろんな可能性ないしは質問を思いつく。
例「ドラえもんのポケットって胎内回帰願望なのかしら?」 - 赤ん坊のカンガルー
雌雄は不明。
退屈を知らない(地面を走りまわる、ところどころに意味もなく前足で穴を掘りつづける、父親の周囲をぐるぐるとまわる、緑の草を少しだけ齧る、地面を掘る、二匹の雌カンガルーにちょっかいを出す、地面にごろりと横になる、起き上がって走りはじめる)。 - 父親カンガルー
いちばん巨大で、いちばん物静か。
才能が枯れ尽きてしまった作曲家のような顔つきで餌箱の中の緑の葉をじっと眺めている。 - 母親カンガルー
強い日差しの中でも汗ひとつかかない(青山通りのスーパー・マーケットで昼下がりの買物を済ませ、コーヒー・ショップでちょっと一服しているといった感じ)。 - ミステリアスな雌カンガルー
尻尾の具合を試すように柵の中で跳躍を繰り返す。
主人公の「僕」曰く「母親じゃない方のカンガルーはいったいなんだ?」とのこと。 - ホットドッグ売りの若い学生アルバイト
ワゴンの形をした屋台の中に大型のラジオ・カセットを持ち込んでいる(「僕」がホットドッグを注文した時はスティーヴィー・ワンダーとビリー・ジョエルが歌を唄っていた)。
『カンガルー日和』から学ぶカンガルーの生態
- 人間がブーメランでカンガルーを殺して肉を食べるので、敵である人間から逃げるため速く跳んで走る。
- 子供はそんなに速く走れないので、母親カンガルーのおなかの袋に入る(保護されている、保護期間はおおよそ1ヵ月〜2ヵ月と考えられる)。
- カンガルーは力持ち。だから今まで生き延びてきた。
『カンガルー日和』で名前が挙がった有名人
- ドラえもん:22世紀のネコ型ロボット。どら焼きが大好物。 http://dora-world.com/
- スティーヴィー・ワンダー:盲目のアメリカン人ミュージシャン。 村上作品では『カンガルー日和』の他、『ランゲルハンス島の午後』、『村上かるた うさぎおいしーフランス人』、『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』などにも登場。 http://www.steviewonder.net/
- ビリー・ジョエル:アメリカ人ミュージシャン兼ピアニスト。 村上作品では『プールサイド』、『'THE SCRAP' 懐かしの一九八〇年代』、『ノルウェイの森』などにも登場。 http://www.billyjoel.com/
初出
「トレフル」1981年10月号
※伊勢丹の主催するサークルの会員に配布される雑誌(非売品)。
収録
- カンガルー日和(短編集)
- 村上春樹全作品1979~1989(5)短編集2
- はじめての文学 村上春樹
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