『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がベストブックカバー2014に選出
村上春樹の本は現在、世界60ヵ国ほどの国々で翻訳されているそうです。
そこには翻訳されている国の数の村上作品があり、
別の言い方をするなら、国の数と同じ数の表紙に飾られた村上作品が存在します。
時々、世界中の村上作品を一ヵ所に集めてブックカバーを眺めることができたら素晴らしいだろうなぁ、と想像することが僕にはあります。
そんな願いはなかなか叶えられないけれど、ありがたいことにいくつかの国の村上作品はインターネットで見ることができます。
お国柄の事情なのか、それともブックデザイナーの趣味趣向なのか、理由は定かではないけれど、国によって印象は違うんですよね。
個人的にはスペインで翻訳されている村上作品がグラフィック的に凝っていておすすめです。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『ねじまき鳥クロニクル』なんて、物語のどこをどう捉えたらこういう表紙になるんだろうと不思議に思わなくもないんだけれど、『世界の終り』や『ねじまき鳥』の物語を通り抜けてきた時、何割かの読者は表紙みたいな顔(ないしは頭)に変化しているのかもしれないですね。
アメリカで翻訳されている長編のいくつか、具体的には『ノルウェイの森』、『ダンス・ダンス・ダンス』、『国境の南、太陽の西』、『スプートニクの恋人』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』は同一人物がブックデザイナーを務めているらしく、デザインに統一感があってこれはこれで見応えがあります。
このブックデザイナーが誰かは知らないんだけれど、もしかしたら世界的に有名なブックデザイナーのチップ・キッドなのかもしれないですね。
というのは、チップ・キッドがアメリカ版村上作品の装丁をいくつも手がけているから。
例えば、アメリカ版の『1Q84』や『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がそう。
『色彩を持たない多崎つくる・・・』について言えば、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事「ベストブックカバー2014」の12作品のうちの1つにも名前が挙がっています。