突撃隊
『ノルウェイの森』に登場する突撃隊という人物について。
人物
- ワタナベトオル君の学生寮の同居人。
- あまり裕福とはいえない家庭のいささか真面目すぎる三男坊。実家は山梨県。
- 仕送りをしてもらいながら国立大学で地理学を専攻。卒業後は国土地理院で地図を作ることを希望している。
- 場合によってどもったりどもらなかったりするが、「地図」という言葉が出てくると百パーセント確実にどもる。
- 頭は丸刈りで背が高く、頬骨がはっている。
- 1969年9月、学生寮を退寮。
生活スタイル
- 病的なまでに清潔好き。週一で布団を干し、月一でカーテンを洗濯する。
- 毎朝六時に「君が代」を目覚まし時計がわりにして起床。洗顔の後にラジオをつけてラジオ体操をする。
- 歯を一本一本取り外して洗っているんじゃないかという気がするくらい顔を洗うのにすごく長い時間をかける。
- 虫が一匹でもいると部屋の中に殺虫スプレーをまきちらす。
- アムステルダムの運河の写真、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジの写真、氷山の写真等でマスターベーションをする。
興味・関心
海岸線の変化や新しい鉄道トンネルの完成といった種類の出来事に限られている。そういうことについて話だすと、一時間でも二時間でもしゃべりつづける。
服装
- いつも白いシャツと黒いズボンと紺のセーターという格好。学校に行くときはいつも学生服を着る。靴も鞄もまっ黒。見るからに右翼学生という格好故、まわりの連中は突撃隊と呼んでいたが、政治に対しては百パーセント無関心。洋服を選ぶのが面倒なのでいつもそんな格好をしているだけの話。
- 鹿の編みこみが入った赤と黒の可愛い素敵なセーターを購入(それを着て歩くとみんなが思わず吹き出した)。
エピソード
- 1969年1月末に四十度近い熱を出して寝こむ。ベッドの上をごろごろ転げまわって今にも死ぬんじゃないかという苦しみようで、熱はまる一日引かなかったが、二日目の朝になるとむっくりと起きあがり、何事もなかったように体操を始めた。体温を測ってみると三十六度二分だった。 直子とのデート(ブラームスの四番のシンフォニーを演奏するコンサート)をすっぽかしてまで看病にあたったワタナベトオル君曰く「人間とは思えなかった」とのこと。
- 学生寮の庭にいた螢をワタナベトオル君にプレゼントする。(※『ノルウェイの森』の原型は短篇小説『螢』。)
その他
村上春樹の小説には99パーセントまでモデルはいない(本人談)けれど、突撃隊についてはモデルが実在する。当時、村上春樹のルームメイトだった、すごく真面目でどもる人物。
参考図書
- 『ノルウェイの森』
- 「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?