シェリル・クロウ『オール・アイ・ウォナ・ドゥ』
音楽好きの村上春樹が、新譜が出ると手に取るミュージシャンのひとりシェリル・クロウ。
エッセイ『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』で紹介されているのは、そんなシェリル・クロウのヒットナンバー『オール・アイ・ウォナ・ドゥ(All I Wanna Do)』。
前にシェリル・クロウのCDをよく聴いていると書いた。今でもカーステレオでときどき聴いている。その中に入っているヒット曲『オール・アイ・ウォナ・ドゥ』の歌詞はハードでヒップな感じでなかなかかっこいいなあとかねがね思っていたのだが、先日ボストンの新聞を読んでいたら、歌詞を作った人が紹介されていた。やっぱりこの歌詞は多くの人々の注目を引いたらしい。
・・・・・中略・・・・・
この『オール・アイ・ウォナ・ドゥ』は、彼がずいぶん以前に自分の詩集に入れて発表した詩なのだが、その詩集は彼の言葉によれば「世界中で僕以外にはたぶん誰も読まなかった」そうである。そしてもちろん評判になることもなく、そのままどこかに消滅してしまった。
ところが自分の曲のためにどこかにかっこいい歌詞がないものかと、必死になって探しまわっていたシェリル・クロウが、どういう経過によってかは知らないけれどサンフランシスコでたまたまこの詩集を手にして、『オール・アイ・ウォナ・ドゥ』の詩に目をとめ、「うん、これだ」と閃いて、それにさらさらと - かどうかまでは知らないけれど(いろんな情景を勝手にさらさらと想像しちゃうのが小説家の宿業である) - メロディーをつけた。そしてご存知のように大ヒットしたわけである。
『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』
シェリル・クロウ(Sheryl Crow)
アメリカの女性シンガーソングライター。
村上春樹のお気に入りのミュージシャンなので、時々、小説の中にシェリル・クロウの音楽が流れていたりもする。
例えば・・・・・
恋愛をテーマにしたアンソロジー『恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES』に収められた『恋するザムザ』には、シェリル・クロウのヒット曲『エヴリデイ・イズ・ア・ワインディング・ロード(Everyday Is a Winding Road)』が出てくる。