北海道の中頓別町と村上春樹『ドライブ・マイ・カー』のたばこポイ捨て、『ノルウェイの森』小林緑の姉が思うウルグアイという国

「魚臭いけどいいか」
ナ「魚はナカタの好物であります」
「あんなちょっと変わってるな」
ナ「はい。ときどきそう言われることがあります」
「俺は変わった人間って、好きだよ」
 「こんな世の中で普通の顔をして、まともに生きていけるようなやつは、
  かえって信用できねえもんな」
ナ「そのようなものでしょうか」
「そうだよ。それが俺の意見だ」
ナ「ナカタには意見というものはあまりありません。ウナギは好きですが」
「それもひとつの意見だ。ウナギが好き」
ナ「ウナギも意見なのですか?」
「うん。ウナギが好きというのもひとつの立派な意見だ」

上の文章は『海辺のカフカ』の中で描かれているハギタさんとナカタさんのやりとり。

北海道にある中頓別町(なかとんべつちょう)という町の人が村上春樹の短編『ドライブ・マイ・カー』にあった「たばこのポイ捨て」の表現に対して怒ってるというニュースを聞いて、ふと、ふたりの会話を思い出した。

僕は東京の近くに住んでいるので、この件につては全くの門外漢だけれど、中頓別町という町がちょっと気になったのでグーグルマップを使って場所を調べてみた
中頓別町って北海道のかなり北に位置する町なんですね。
なんだか、冬はものすごく寒そう。

それで、北海道中頓別町の町議だか誰かは、「町民には屈辱的」として文藝春秋に質問状を送ることに決めたそうなんだけど、『海辺のカフカ』のハギタさんの言葉を借りれば、もちろんこれも意見のひとつなんだという気がする。

村上春樹には中頓別町に住んでいる人たちを侮辱する気なんてさらさらなかっただろうし、もしこのニュースを村上春樹が知ったらビックリすると思う。

でも、村上春樹って良くも悪くも影響力があるから、今回の当事者である中頓別町の人が何かを言いたくなる気持ちも理解できなくはない。
もしそれが仮に売名行為だったとしても、僕なんかは中頓別町を寂れた寒村と想像してしまうから、瀬に腹は代えられない事情だってあるだろうよ、とも思う。

この報道について、ネットでは賛否両論あったそうです。
好意的な人もいれば、売名行為、炎上マーケティングだという言う人も居るし、こんなくだらんニュースを報道するのがそもそもおかしとい言う人もいた。
もちろん、ハギタさんに言わせれば、これら全てが意見。

僕だって意見を持っている。
それは『ドライブ・マイ・カー』とは関係ないけれど、村上春樹にはすごく関係のあること。

『ノルウェイの森』の主要な登場人物のひとり小林緑。
その緑のお姉さんは、ウルグアイという国について
道はロバのウンコでいっぱいで、そこに蠅がいっぱいたかって、水洗便所の水はろくに流れなくて、トカゲやらサソリやらがうようよいる
と思い込んでるんですよね。
『ノルウェイの森』にしっかりそう書いてありました。

もしかしたら、今回の『ドライブ・マイ・カー』の一件が変な形で飛び火して、ウルグアイと日本の間で外交問題に発展しはしないだろうか、と僕は心配している。
これは困ったぞ!
と、ほんとは全然困っていないんだけど、困ってます。
つまり僕の意見はこうです。

ウナギでも食べて楽しくやろうよ!

そんなウナギ的着地点を見つけられる意見がいいな、と思う。
すき焼きでも全然いいんだけど。

「北海道の中頓別町と村上春樹『ドライブ・マイ・カー』のたばこポイ捨て、『ノルウェイの森』小林緑の姉が思うウルグアイという国」への2件のフィードバック

  1. 文藝春秋を通して、村上春樹が下記のコメントを発表したそうです。

    「僕は北海道という土地が好きで、これまでに何度も訪れています。小説の舞台としても何度か使わせていただきましたし、サロマ湖ウルトラ・マラソンも走りました。ですから僕としてはあくまで親近感をもって今回の小説を書いたつもりなのですが、その結果として、そこに住んでおられる人々を不快な気持ちにさせたとしたら、それは僕にとってまことに心苦しいことであり、残念なことです。中頓別町という名前の響きが昔から好きで、今回小説の中で使わせていただいたのですが、これ以上の御迷惑をかけないよう、単行本にするときには別の名前に変えたいと思っています」

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