ノーベル賞の季節がやって来る

ここ数年、秋になると「村上春樹はノーベル賞を受賞するか」的なニュースが恒例行事として流れてくる。
イギリスのブックメーカーによると、2014年度のノーベル文学賞候補の大本命は村上春樹なんだそうです。

昨年も村上春樹は有力な候補のひとりに挙げられ、その発表の瞬間はリアルタイムの映像でも見ることができた。
世界中のジャーナリストが集まる会場。
その会場にある一枚のドアから一人の人物が現われ受賞者を発表。
外国語だったからほとんど聞き取れなかったけれど、「ハルキ・ムラカミ」という言葉が出てこないことで受賞を逃したことを何となく知った

このWEBページに貼り付けている動画はノーベル賞の公式YouTubeアカウントです。
なので、発表当日、ノーベル賞の関係者がここに映し出され、2014年度のノーベル文学賞受賞者が発表されます。
今はただ、デジタルの時計が1秒また1秒と時を刻んでいるだけなんだけど。
http://www.nobelprize.org/

読者にとって「村上春樹のノーベル賞受賞」はやっぱり気になるところ。
一方で「村上春樹はノーベル賞をどう思っているのか?」という点にも興味はある。
そんな疑問について、フランツ・カフカ賞の受賞以降に行われた読者とのやりとりで村上春樹が語っています。

作家にとって(そしてまたおそらく読者にとっても)いちばん大事なのは作品そのものであって、文学賞というのは「あとからついてくる現象」に過ぎません。
・・・・・中略・・・・・
「かたちのあるものよりは、かたちのないものをより大事にしたい」というのが僕の正直な、そして一貫した意見です。外から与えられるものよりは、内から生まれてくるものの方を大事にしたい。作家と読者とのあいだに生まれる信頼関係というのは、賞とか数字とかで評価できるものではありません。

この発言を読んで、僕は日頃、自分が漠然と感じている気持ちが改めて整理されたような気がした。
僕は「村上春樹の本っていいじゃん!」と素直に(つまり何の利害関係もなく)思っている。その気持ちはノーベル賞を取ったところで変わらないだろうし、ノーベル賞を取らなかったとしても変わりそうもない、と。

読者とのやりとりの詳細は、以下の本に載っています。
『「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』
という、とんでもなくタイトルが長い本に。

ちなみに、2013年「ハルキ・ムラカミ」の代わりに名前を呼ばれたのは、カナダの作家アリス・マンローさん。
10個のラブストーリーを収録した本『恋しくて – TEN SELECTED LOVE STORIES』には、村上春樹訳によるアリス・マンローさんの短編『ジャック・ランダ・ホテル』も載っています。