村上春樹新聞

夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介などなど、村上春樹が選ぶ「国民的作家」10人

村上春樹の『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』の英訳で知られるジェイ・ルービンさん。
そのジェイ・ルービンさんが編集した『芥川龍之介短篇集』の序文(村上春樹が執筆)によると、芥川龍之介は日本における「国民的作家」の一人なんだとか。

村上春樹の定義による「国民的作家」とは、

ひとことで言えばその作家は、その時代(彼/彼女の生きた時代)における、日本人という民族の精神性を鮮烈に反映した、第一級の文学作品を残していなくてはならない。

とのこと。
他にも理由はあるけど、この部分がもっとも重要なポイントらしいです。
で、近代文学作家の中から村上春樹が選ぶ「国民的作家」が以下の10人。

誰もが言わずと知れた大作家先生。
この錚々たる顔ぶれの中でも断然ぶっちぎりのトップ当選が夏目漱石であり、同時に村上春樹が個人的に愛好する作家も夏目漱石(と谷崎潤一郎)なんだそうです。

でも、並んだ名前をよーく眺めてみると、実はここには9人の名前しか挙げられていません。
というのも、この9人の作家につづく名前を村上春樹が思いつけなかったから。

本人(村上春樹)はそんな気なしに書いているんだろうけど、「10人目の椅子は村上春樹なんだろうな」と、『芥川龍之介短篇集』の序文を読んでいる読者の多くが思いそうですよね。
「国民的作家」とはなんたるか、その他の理由として村上春樹はこうも言っています。

その作家の作品は、少なくとも代表作は、ただ優れているだけではなく、長い時の試練に耐えて生き延びることのできる、強固で奥深いものであることを証明していなくてはならない。であるから、時の試練というものを考慮するなら、その作家が死んでから、少なくとも二十五年くらいは経過している必要があるだろう。

村上春樹はまだ存命中だから上記の法則には該当しないけれど、村上春樹を代表するこれらの作品が長い時間を経た今でも、読書を楽しませる小説として機能していることは既に証明されていますよね(と僕は思います)。
「国民的作家」の10人目はやっぱり村上春樹で決まり、なのでは。

そういえば『ノルウェイの森』に出てくる永沢さんって「死後三十年を経ていない作家の本は原則として手にとろうとはしない」という特徴を持った人でしたよね。