『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がニューヨーク・タイムズ掲載「ベストブックカバー2014」に選出

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がベストブックカバー2014に選出

世界中のいくつの国で村上春樹の本が翻訳されているかご存知ですか?

と、もし質問されても、僕は詳しい数を知らないので答えられない。
50カ国は下るまいと踏んではいるけれど。

それが何カ国であったとしても、そこには翻訳されている国の数だけの村上作品がある。
別の言い方をするなら、国の数と同じ数の表紙に飾られた村上作品が存在する。
時々、世界中の村上作品を一カ所に集めてブックカバーを眺めることができたら楽しいだろうなぁ、と想像することがある。
それだけで、ご飯三杯は食べられそうだし、一発くらい抜・・・・・いや、くだらない例えはやめよう。

そんな願いはなかなか叶えられないけれど、ありがたいことにいくつかの国の村上作品はインターネットで見ることができる。
お国柄の事情なのか、それともブックデザイナーの趣味趣向なのか、理由は定かではないけれど、国によって印象は違う。

個人的にはスペインで翻訳されている村上作品がグラフィック的に凝っていて好きだ。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『ねじまき鳥クロニクル』なんて、物語のどこをどう捉えたらこういう表紙になるんだろうと不思議に思わなくもないんだけれど、『世界の終り』や『ねじまき鳥』の物語を通り抜けてきた時、何割かの読者は表紙みたいな顔(ないしは頭)に変化しているのかもしれない。

アメリカで翻訳されている長編のいくつか、具体的には『ノルウェイの森』『ダンス・ダンス・ダンス』『国境の南、太陽の西』『スプートニクの恋人』『海辺のカフカ』『アフターダーク』は同一人物がブックデザイナーを務めているらしく、デザインに統一感があってこれはこれで見応えがある。
これらの作品のブックデザイナーは誰かご存知ですか?
と、もし問われても、これについても僕は知らない。
世界的に有名なブックデザイナーのチップ・キッド、その人でしょうか?
と、逆に問い返すかもしれない。

というのは、チップ・キッドがアメリカ版村上作品の装丁をいくつも手がけているから。
例えばアメリカ版の『1Q84』や最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がそう。
『色彩を持たない多崎つくる』について言えば、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事「ベストブックカバー2014」の12作品のうちの1つにも名前が挙がっている。

村上春樹以外の作家、チップ・キッド以外のブックデザイナーに関してはよく知らない。というか全然知らない。
ニューヨーク・タイムズに名前が挙がるくらいの作家であり、その作家に選ばれるだけのブックデザイナーではあるんだろうけど。

ところで、ニューヨーク・タイムズに掲載された12冊の優れた装丁を眺めながらふと思ったんだけど、iPadやKindleなどの電子端末が日増しに普及していく状況において、いつかは村上作品も電子書籍化される日が訪れるんだろうか?
う〜ん、どうだろう。

『走ることについて語るときに僕の語ること』中で「音楽」についてはこう語っていた。
「今のところ僕はまだ、音楽とコンピュータをからめたくない。友情や仕事とセックスをからめないのと同じように。」と。
それが根拠というのではないけれど、電子書籍について村上春樹はゴーサインを出さないような気がする。